学校〜チルドレン〜

 シンジは教室のドアに手をかけた。

 ガラッ!

 クラス全員がドアに注目する。シンジは少し恥ずかそうに頭を下げた。

「すいません。遅れました」

「碇君、もう少し早く起きるように」

 先生に注意され、そそくさと席につき、準備をする。

 ゾクッ

(・・・はっ!)

 シンジは後ろからの強烈な視線に、背中が痛くなり後ろを見る。

 ゴゴゴゴ!ゴゴゴゴ!!

 アスカの強烈な睨み、シンジは冷や汗が噴き出し苦笑い、アスカの瞳が何かを語っている。

(シンジ!遅刻して朝のこと忘れてないでしょうね)

 遅刻も怒りの対象に入った。

(う…朝の事はともかく、どうして遅刻で怒るんだよ!)

(フン!アンタが悪いんでしょうが)

(なんだよ!それ)

(叩かれたぐらいで気絶なんて、情けないわね!)

(アスカは力強いから)

(なんですって!)

(ひっ…)

 アイコンタクトで会話する。二人のなせる技だ。

「碇君、後ろを向かない、ちゃんと聞きなさい」

「あっ、はい」

 教師が、注意をする。助かったと思いシンジは前をむく。しかしアスカの攻撃は続いた。シンジの端末にメッセージがうちこまれる。

[バカシンジ!休み時間、憶えておきなさいよ]

「…」(どうして…)

 シンジは納得がいかなかった。アスカにメッセージを打とうとした時、またメッセージが届いた。

[ケンスケだけど、ちょっと買ってもらいたいものがあるんだ]

「?」

 ケンスケからのメッセージ、シンジは疑問に思ったが、次の瞬間息がとまった。

「!!!!!」

 送られてきた画像、そうそれはシンジとレイが手をつないでいる場面。驚きと同時に画像が消え、脅迫めいた文章がうちこまれた。

[シンジもすみにおけないなあ。これが入ったメモリーを買ってくれよ]

 明らかに脅迫。

[どうしてだよ、ずるいじゃないか!隠し撮りするなんて]

[隠してなんかないよ。二人が楽しそうに手をつないでいたから記念に撮っておいたんだ、有りがたいだろう]

 楽しそうが強調されている。

[そんな]

 窓際のケンスケを見ると、眼鏡が反射して目が見えなかったが、口元が危なく笑っている。

[どうするんだい?買うの、買わないの]

[わかったよ、いくらだい?]

[親友だからな、安くしておくよ]

 値段が表示される。

「!!!!!」

[ちょっと、高すぎるよ。もう少し安くして]

[いいのかい?他にあてもあるんだよ、たとえば惣流とか]

!!!!

 シンジはあせった。アスカに見られたら自分の身が危ない、しかし高すぎる迷った。

[どうする?シンジ]

[わかったよ]

 アスカの怒りより買ったほうが安く、シンジは言い聞かせつつキーを打った。

[まいどあり!次の休み時間に渡すよ、代金は後でいいから]

(はあー、小遣いたりるかな)

 お金の事を考えてるとまた文字が届く。アスカだ。

[なにやってんのよ?]

[ちょっとケンスケと]

[私を無視していい度胸ね]

[無視していないよ]

[いい訳する気?]

[違うよ]

 

 

 

 

 

 

 

 二人のやり取りはずっと続いた。

 キーンコーン!カーンコーン!!

 一時間目終了の鐘、教師に挨拶をして休み時間に入る。

 すかさずアスカがシンジの机に向かう。

シンジ!!

「なんだよ」

「アンタ、何遅刻してるのよ」

「しょうがないだろ、アスカが悪いんじゃないか」

「どうしてよ」 

 シンジとアスカの睨み合いが続いた。

 ガラ!

 ドアを開けたのは先ほど下駄箱までシンジといっしょだったレイだ。

「おはよう、どうしたの碇クン」

 レイはシンジとアスカが言い争っているのを不思議に思う。

「あ綾波、なんでもないよ」

「アンタどっちむいてんのよ!」

「ぐえ・・・」

 シンジの胸倉を掴み、引き寄せる。その情景を見たレイは止めようとした。

「やめて・・碇クン苦しんでいるわ」

「邪魔する気?」

 アスカはレイを睨んだが動じない。瞳が一層紅くなる。

「アスカ!」

「なっなによ」

「今朝も碇クンを叩いたでしょう」

「シンジが悪いのよ!」

「碇クンは悪くないわ」

悪いわよ!私の裸を見たのよ!

「「「なにー!!」」」

 アスカの大声での一言、クラス中がシンジ達に振り向いた。

「シンジ、うらやましいの」

「くそ、シンジめ」

「ふっ不潔よー」

 シンジは慌てふためいて、理由を述べたがクラスの男子は殺気のこもった目で睨んでいた。

「ちっ違うよ!アスカがバスタオル1枚で台所に来て、落ちたんだよ」

「それでも見たんでしょう」

 アスカの突っ込み。シンジは赤くなった。

「ほら、いやらしい」

「事故だろ」

「事故でも見たんだから、犯罪よ」

 もはやアスカの攻撃は止まらなかった。シンジは隣にいたレイを盗み見た。

 チラ!

「あっ綾波!」

「・・・・・」

 口を開けたまま固まっていた。

(そうなの・・・・)

「私の裸だけじゃなく、アスカのも見たのね」

「「「!!!!」」」」

 レイの爆弾発言、教室中がまたシンジに向いた。

「惣流だけじゃなく、綾波までも」

「シンジ、お前ーー」

「不潔!不潔よーー!」

「事故だよ、事故」

 シンジの説明中だか、アスカはまた胸倉を掴んだ。

「あんたは!」

「くっ苦しい・・・ごめん・・」

 シンジは条件反射で謝った、アスカは掴んだ胸倉を緩めるが怒りはまだおさまらない。

「ま、まあいいわ!それよりどうして遅刻したの?」

「それはアスカが・・・」

 ギラ!

 アスカは睨みをきかせ、締めがきつくなる。

「ヒッ!うげ・・・」

「どうして?」

 アスカは優しい声で、問うのだが手は力がこもっている。シンジはこの体勢から逃げ出したくあきらめた。

(アスカのせいだって言ったらまた酷くなるんだろうな・・)

「・・・僕の・」

 シンジが言いかけたとき、追い討ちをかけるレイの一言。

「私と手をつないで登校したの」

 火に油である。またクラスが騒がしくなる。しかしケンスケは一人考えていた。

(チッ、ばらしたかこれじゃあシンジに買ってもらえるか不安だな。まあ一応聞いてみるか)

なにー!!

ぐえー!

 アスカの締めは一層強くなる。シンジは気絶寸前だ。

「ファーストと手をつないでいたから、遅刻したのね」

「そっそれは・・」

「何とか言いなさいよ」

「言うから離してよ・・」

 アスカは離し、シンジは喉を押さえ苦しがっている。

「さあ話してみなさいよ」

「ぜーぜー・・・それは・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 シンジは朝の出来事をあたりさわりしない程度話した。アスカは一応、納得した。

「まあ、それじゃあ仕方ないわ。今度から遅刻するんじゃないわよ!」

「わかったよ・・」

 シンジは一安心した。レイも隣でホッとしている。

(碇クンよかったわ。それにしてもアスカはひどいわ)

 

 キーンコーン!カーンコーン!!

 休み時間終了の鐘、2時間目が始まった。シンジは1時間目の緊張した気持ちも抜け、リラックスしていた。

(ふうーなんとか助かった、しかしアスカは否を認めないな・・・ん?)

 シンジの端末にメッセージが届く、ケンスケからだ。

[シンジ、メモリーは次の休み時間に渡す]

 しかしシンジは考えた。

(ばれたから、別にいいんじゃないかな)

 そしてメッセージを書き込む。

[いらないよ]

 それを見たケンスケは。

(なにー!たしかにばれたがシンジにしては強気だな、よし押し捲るか)

[いいのかい?惣流にみせても]

(ふふふ、これで買うだろう)

 しかし帰ってきた返事は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[いいよ]

なんだってー!

 ケンスケ撃沈、白くなった。新機種を手に入れる夢は破れた。


 登校〜シンジレイアスカ〜の続編です。3人が一度にでてくるので一つにしました。

 最後はケンスケで締めましたが、やはりこういう運命です。

 すこし強引でしたが、jun16の文章力ではこんなものです。大目に見てください。

 しかし短編となると、アイデアが無くなってきます、読んでいる方々!感想の隅っこにでもいいですから少しでもアイデアを書き添えてくれると、涙を流して喜びますのでお願いします。

 不肖ながら、書かせていただきたいと思います。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 学校〜チルドレン〜